武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

ガチ恋というより感謝

「本当に(推しのこと)愛してるんだね!」と、実に頻繁に言われます。中には私が、推しに「ガチ恋」をしていると信じている方もいらっしゃる。ファンの方や友人ならともかく、運営さんにもそう誤解されないようにしたいのですが。

複数の方に言われると、「ひょっとして私は、無意識のうちにガチ恋しているのか?」とも思いますが、やはりはっきりと「それはない」と思えます。推しは他のファンとリプライで会話することもありますし、物販では実に楽しそうに、私の存じ上げない方とお話をされています。その姿を見てまったく嫉妬心が起きない、苦しいなんて微塵も思わないのは、やはり私の感情は「女性」ではなく「一ファン」止まりなのでしょう。

とはいえ、ガチ恋であることが確定しているようなファンの方も多い、というよりそちらの方が多数派とも思いますので、決して推しにはガチ恋に値する魅力がない、ということはないのでしょう。本当に素敵な方とは思いますけれど、やはり芸能人とファンという立場でお会いした以上、私は本能的に推しに恋をすることはできないのだと思います。例えば、私はダヴィッドの絵画が大好きです。彼が描いたナポレオンの絵は惚れ惚れするほど素敵ですし、現物を美術館で拝見したときは感動に打ち震えました。しかし絵画ですので、ナポレオンの姿に恋心を抱くとか、その絵画に圧倒されている他の方々を見て、「私だけの絵画であってほしい」という思いは抱かないというか…説明になっていませんが、そんな感じです。

そもそも推しは、所謂私の「タイプ」ですらないのかもしれない。もちろん接していて、不快に思う言動はまったくないのですが。例えば、現実世界に推しとまったく同じ外見と内面を持つ殿方が現れても、心を奪われることはないのかもしれない、と思います。

ではなぜこんなにも、私は推しのことを毎日考え続け、日々アルバイトを頑張って資金を捻出してはお顔を拝見しに行き、彼を不快にさせないファンであろうと努力をするのか?…恋に恋すると申しますか、ファン活動に恋をしている状態、ともいえると思います。おそらく私は、人さまのために差し入れやお花を選ぶという行為が大好きですし、そうした行為をしたい、という欲求を満たしてくれる推し事が大好き。メイク技術やファッションセンスが上達していくのも気持ちいい。

だったらDDでもいいし、そちらの方が楽しいんじゃないか、とも思われそうですが、私はDDになるどころか二推しすら作りません。推しのユニットの中でも、二番目に好きなのはどなた?と聞かれても、まったく分からないのです。

この世界を知って、初めてお会いしたのが推しでした。ですので、そのご縁を大切にしたい、という思いが一番強いのだと思います。私にこの世界を、そしてその世界に生きる楽しさを教えてくれたのも推しですし、推しが素敵な人間であるからこそ、私もせめてご迷惑はかけないファンでいようと思えているのです。推しに抱いている感情は、「愛情」でなく「感謝」が一番近いのかもしれません。

もしかしたら、見た目が完全にタイプなアイドルさんにお会いして、もはや推しのときには保っていた理性も決壊して「ガチ恋」してしまうのかもしれない。私もいつか、現実世界でどこぞの殿御と結婚し、これまでのように安易に「大好きです!」というアピールができなくなるかもしれない。ガチ恋という感情でしたらいつしか薄れてしまうかもしれませんが、感謝の念はそうそう環境の変化によって薄れないでしょう。今後も心穏やかに、推しのファンでありたいと思います。