武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

推し事と体力

実際に現場に伺う形で推し事をするには、やはり体力が必要不可欠です。体調不良で泣く泣くチケットを手放す、というのはたいへん悔しいですし、推しにとって不利益になる場合もありますから、体調管理は万全に心がけています。

例えば、流行期に合わせて必ずインフルエンザの予防注射を受けます。自分がかかってイベントを見送ることを避ける意味もありますが、現場では必ず推しと接触できるため、保菌状態で会って移してしまわないように、という配慮でもあります。また、少しでも異変を感じたら早めに手を打つ、あるいは予防するのも必須です。以前推しマヌカハニーのキャンディーを差し上げたことがありましたが、それまでにあらゆる銘柄を試食した結果そのまま自分も大好きになり、今は必ず鞄に常備しています。とはいえ、推しに差し上げたちょっと高価なものを毎日自分が舐めるわけにもいきませんから、コンビニで売っているような安価なものを数種類ローテーションで使っています。

普段はおやつ代わりとして売られている、レモン味や甘みの強いものを。そして風邪気味だと感じているときはプロポリス入りのものを頂きます。プロポリス入りは普段舐めると刺激的すぎるように思うのですが、喉が痛いときは患部に丁度よく効いているという快感すら得られます。

また、私は笑ってしまうくらい体力がありません。オールスタンディングライブに行く、と言ったとき、友人全員に「死ぬよ」と言われたほどです。というのも、1時間以上直立していられないという、なかなか信じていただけないようなひ弱さなのです。ですのでこの先の記事は、体力が人並みにおありなドルオタの方にとっては、まったく参考にならないものとは思いますが…

まずは足腰を鍛えることを最優先目標としました。一日に一万歩のウォーキングを必ず行い、大学に行くときは最寄り駅の一つまたは二つ先の駅から歩きました。更に空いている電車でも座らないようにしました。

スポーツクラブにも入会しました。幼い頃スイミングスクールに少し通ったきりまったく泳いでいないので、プールは水中ウォーキングのみ。トレーニングルームでマシンを使った運動をする方が多いです。中高生のとき、春の体力テストで必ず課されていた1km走では毎回最後は歩いてしまうヘタレっぷりでしたが、気づけばランニングマシンで2、3kmは余裕で走り込めるようになりました。

こうして3時間ほど続いたファーストライブは無事に立っていることができました。翌日激しい疲労を感じ、マッサージ店に駆け込んでしまったのですが、そこで「キンブレをしっかり振るには肩甲骨を中心としたインナーマッスルを鍛えた方がいい」というアドバイスを頂きました。キンブレの振り方をよくご存じなあたり、あのマッサージ師さんももしやドルオタだったのでしょうか。というわけで、最近はスポーツクラブでも上半身を中心に作り込むマシンにも手を出しています。

ライブに行くだけでここまで体力作りをするなんて大袈裟な、と仰る方もいらっしゃるでしょうね。でも私にとっては、体を使った趣味を持つということがたいへんな挑戦なのです。生まれつき脊椎に疾患を抱えて生まれてきた私は、日常生活にこそ支障がなく手帳なども持っておりませんけれど、体力に関しては人より二歩も三歩も遅れをとって生きてきました。運動部に入るなんて夢のまた夢ですし、遠足や修学旅行のアクティビティでも、私専属の先生がいつしか隣で介助してくださる、といった状態でした。

簡易的な椅子を持ち込んでもいいんじゃないか、と言われたこともあります。でも私は、「こんな病気を持っています」なんて看板を首からぶら下げて生きているわけではありませんし、見た目で病気は判断できません。(歩き方が若干不自然でしょうか…でも、それを幼少期に揶揄されたこともないので、大したことはないのでしょう)ならば、「あのファン、やる気がなさそうだ」「椅子にふんぞり返って偉そうだ」と言われても仕方がない。

それに、どんなにリハビリを頑張っても歩けないような方ならともかく、私は上記のような努力をすれば、せいぜい3時間は立っていられます。終盤には背中も腰も悲鳴を上げるし、最悪翌日は寝込むけれど、「私には無理」という言い訳ができるレベルではありません。むしろ私は、学生時代にはなから諦めていた体力の限界に挑戦させてくれた推しの存在に感謝しかありませんし、なんならもういっそファンミーティング at 富士山頂でも企画していただきたいです。死ぬ気で頑張る。

特に今力を入れているのは握力の向上です。少しでも油断するとキンブレが飛んでいきそうになる、というのもありますし、あまりにも手の力が弱いと刷毛が握りこめず、推し色ネイルがうまく塗れないからです。刷毛を口に咥えてやるくらいなら私がやってあげるよ、と申し出てくれる友人もありがたいことに多いのですが、私はお医者様から「あなたはどうしたってネイルをすることができません、医学的にその手では無理です」と言われたわけではありません。ならば、推し色を塗るというモチベーションがある今だからこそ、ずっと諦めていたネイルもできるようにしたいです。

幼い頃からスポーツができないことで、いろいろと嫌な思いもしてきました。その頃あっさりと諦めていた体力というものについて、やはり自分で限界を定めずに努力してみようと思えたのは、実に推しのおかげだと思います。