武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

危険なファンと思わせない

私が推しに接する上で最も気をつけているのは、危険人物だと思われないように振る舞うということだと思います。

もちろん、推しに敵視されたくない、嫌われるのはいやだ、という気持ちもありますが、やはり一番の理由は「推しのストレスを増やしたくない」という思いです。

まだ記憶に新しい小金井ストーカー殺人未遂事件は、ファンの在り方というものをドルオタ界のみならず世間に問題提起した事件だったと思います。私はファンとして、「このような過剰な気持ちを持たないように、どう自分を律していけばいいのか」を更に深く考えるようになりました。一方でアイドルの皆様は、「自分もファンにこのような危害を加えられるかもしれない」という恐怖を改めて味わったのではないでしょうか。特に地下アイドルの方ですと、この事件で被害者となったシンガーソングライターの方よりずっと過剰なファンサービス、接触イベントを行っています。私の推しもそうですが、一人でも過激なファンがついてしまったら、文字通り命の危機に晒されるお仕事なのです。

また、命の危機ほどまでは行かなくても、アイドルには他にも多くの恐れている事態があります。プレゼントの中に盗聴器やGPSが仕掛けられていた、というニュースは時折耳にします。また、自宅を突き止められてしまった方も大勢いらっしゃいます。

アイドルは、こうしたリスクを背負った上でお仕事をされています。となりますと、相当な楽天家でもない限り、目の前のファンに本気で心を許すことはないでしょう。この人はいずれ愛が歪んで、ストーカーにならないだろうか?…こう疑われることを、悲しいとは思いません。推しと私はお友達ではない、ということは重々承知しているのです。推し側も私を友達ではないという認識をしっかり持って、「この人とはどんなに話が盛り上がってもプライベートのことをあまりべらべらと話してはならない」と決めていらっしゃるのだと思います。

これは、アイドルをする上で必要最低限の危機感だと思います。その更に上の、「この人、本当に大丈夫なファンなのかな?」という考えは持ってもらいたくないので、注意していることがいくつかあります。

まず、プレゼントはできるだけ「盗聴器・GPSを仕込みにくいものを選ぶ」ということです。例えばぬいぐるみは厚みがあり中身が分かりにくいので、こうした機具を挿入するには格好のプレゼントと言えます。それならば、ハンカチやタイピンといった、改造が限りなく難しいものを選びます。(なんて偉そうに言っていますが、まだ自分は消え物以外を差し上げられるほど推しと親密になっている自覚がないので、無駄に「いつか推しにプレゼントしたいものフォルダ」の容量が大きくなっているだけなのですが…)

ファンレターは必ず下書きをし、24時間以上あけて読み直します。情熱に任せて書いた手紙など、大抵の場合翌日の自分が引いてしまうほど熱いものです。これでは推しは引いてしまう、というより、重すぎるファンだと警戒されるかもしれない。

また、お話をする時も、話題には細心の注意を払います。特に、推しに対してプライベートの質問をしない、ということは徹底しています。例えば、兄弟がいることはブログから分かりますが、「お兄様とは何歳離れてらっしゃるんですか?」はタブー。「そろそろ年末の帰省ですか?」も、ご家庭の事情に足を踏み入れていますし、そもそもそれを自分が知ってどうなるものでもないので聞きません。逆に、推しが少しでもプライベートの話題に触れそうになると、さり気なく私から話題をずらすこともあります。推しだって人間ですから、つい口が軽くなってしまうこともあるでしょう。後で、「あの時調子に乗って、ファンに余計なプライベートの情報を与えてしまった…」と後悔させるのはなるべく避けたいのです。

どこまでがプライベートか、ということは、それぞれの価値観によるものだと思います。現に推しの所属するユニットでも、年齢を非公開にされている方から、ご家庭の団欒が目に浮かぶほど詳細なブログを書いてくださる方(これが私の推し)までいます。もちろん、非公開情報が多いことは何も悪いことではありません。「あの方は年齢を教えてくださるのですから、あなたも教えてください」なんてお願いをするのはナンセンスでしょう。

こちらから「私は危険なファンではありませんよ」ということを常日頃から見せることで、推しがストレスなくお仕事をしてくださればいいな…と思います。