武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

お金を払うということ

推しが携わるアイドル業は、当然ビジネスです。我々ファンは推しのパフォーマンスにお金を払い、その資金があるからこそ、推しはアイドルを続けられる。しかし、ファンは推しの行動全てにお金を払っているわけではありません。

お金を払わないと得られないもの。それは、ライブでの経験であったり、CDをはじめとするグッズ。あるいは、直接接触できる時間であったりします。これらをお金を払わずに経験することはご法度であり、法に触れなくてもかなり問題視される行動になります。例えば、違法動画サイトでただでDVDを見る人は、「そんなことをする人はファンではない」と言われます。

しかし、推しは多くの無料サービスを提供しています。ツイッターやブログの提供、ツイッターで時折行われるリプ返祭り、ツイキャスやSHOWROOM、チラシ配りなど。特にツイッター、ブログ、ツイキャスは何度も反復して見られるものですから、これらの無料サービスに触れている時間は、有料サービスに触れている時間よりずっと長いと思います。(あくまで私の場合、ですが)

無銭がっつきはよくない、アイドルのためを思うのはお金をある程度落とすのは礼儀だ、ということは何人ものドルオタさんが主張されてきたことです。物販に長々と居座って何も買わない、といった無銭がっつきは論外ですが、では、こうした無料サービスばかり利用するのはどうなのか?と思います。

確かに、これらのサービスをまったく無視することはドルオタとして冷淡ですし、アイドル側も悲しむでしょう。例えば、ツイキャスをすると告知して誰も見なかったら、コメントが一件もなかったら、それは惨めなことではないでしょうか。ツイキャスが告知されている場合は、都合がつけばなるべく集まって、楽しい時間になるように盛り上げることもドルオタの使命だと思います。

チラシ配りはどうでしょうか。推しの所属ユニットも時折、チラシ配りの場所と時間を告知することがあります。しかし私は、一度もそれに行ったことがありません。チラシ配りとはご新規を開拓するために行うものであり、私のような一応古参が顔を出すべき場所ではありません。また、推しとお話をするにはライブに行かなければならず、つまりお金がかかるもの。しかしチラシ配りでは、推しと無料で触れ合える。それは、ルール違反であるように思います。

推し側は、無料で提供できるサービスと有料のサービスに差をつけていると思います。ツイッターのリプのような、ネットを介した文字情報のやり取りならば無料。生身の推しに会うのは(一部無料イベントを除いて)有料。チラシ配りなどはグレーゾーンですが、それでも私は「推し、あるいは他のメンバーさんと実際に会話をするには必ずお金を払う」ことをポリシーにしています。無料イベントの場合は、差し入れを気持ち多めに持っていくことで気持ちに折り合いをつけています。

では、無料サービスばかりを利用して、有料サービスを受けに行かないのは悪なのか。よく「茶の間は滅びろ」「在宅はオタクではない」という声も聞きますが、それはそのドルオタの状況にもよると思います。例えば、海外赴任中のドルオタがライブへ行くことは不可能ですし、病気、受験、金銭面、様々な制約があり得ます。行きたくても行けない彼らに向かって、「お前らにドルオタの資格なんかない」ということは酷です。

特に金銭面に関しては、非常にデリケートな問題だと思います。私は、なるべくライブに通うようにはしていますが、しがない学生ですので、CDを何百枚も積むとか、そんな余裕はありません。しかし、「そこまでできるお金はないから」と言ったところで、「大学に払えるお金はあるんだろう?それに、水商売をしているドルオタもいる。もっと稼げる夜の仕事をしているドルオタもいる。お前も若い女なら、それができるはずだ。」と言われては、反論のしようがありません。そう言われたなら(言われたことはありませんが)、答えは「私は大学を辞め、水商売をしてまで推しにお金を落としたいとは思いません。私の情熱は所詮そこまでです。」です。

推しのために、バイトのシフトを増やすですとか、自分の欲しいお洋服を一着くらい我慢する、それくらいは余裕でできます。でも、「大学を辞めて学費を推し事に回せ」とか、「水商売をしろ」と言われたら、それは私の価値観で判断するとできない相談です。推しのために嫌な仕事でも何でもして、収入を全て捧げる。そんなドルオタは、確かに非常に愛が強く、尊敬するべき面もあります。しかし、全てのドルオタが、求められていないと思います。むしろ、自分のために学校を辞めて学費を捧げるドルオタが続出したら、まともな神経を持った推しならば手放しで喜ばないでしょう。

一方で、お金を払う余裕があるのに、なるべくそれを払わない方法を見出そうとするのは、間違った応援だと思います。私自身、推しのCDを買った直後、「それ貸して。自分でMDに落とすから」と打診されたことがありました。(ちなみにこのCDは会場て売りがメインですが、通販が可能であり、この発言主がCDを手に入れられないというわけではありません)これならば彼女は無料で推しの歌を聴くことができます。私も、数日間はCDを手元に置くことはできませんが、それを除けばデメリットはありません。しかし、これでは推しにお金が入らないのです。

確かに私も、推しのことをまったく知らない友人に、布教目的でCDを貸す(押し付ける)ことはあります。しかし、上記の行動をしたのは、曲がりなりにも同じ推しを愛するファンです。ファンならば、「推しの歌を聴きたい」という自分の欲求を満たすだけではなく、CDを購入して、推しを経済的な面から支えるという役目もあるはずです。特に彼女は、CD代を出せないような、のっぴきならない事情があるわけでもなかった。単純に、購入が面倒だから、無料で聴ける方法があるならそれに越したことはないから、という理由でした。

推しはボランティアでアイドルをしているのではないのです。利益がどれくらい上がるのかは非常に重要な問題のはずです。その利益をなるべく上げること、そのために経済的な面で貢献することは、ファンの活動の中で最も大切なものであると思います。ファンレターを書いて推しを精神的に癒すことも大切ではありますが、推しは癒しで食べていけません。

推し君はあなたのこと、大切になんか思ってないでしょ?お金としか見てないんでしょ?」などと言われたこともあります。
「ええ、私は確かにお金です。自分の価値観に見合ったお金をしっかり払っている上で、初めて私はファンとなれています。」が私の答えです。