武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

推し事と就活

先日就活が終了しました。これまでの人生で最も苦しみ、最も泣いた時期でしたが、それでもなんとか希望する業界で、納得できる仕事ができることになりました。そしてこの長く辛い時期ですが、少なからず推しに助けられたように思います。

もちろん推しはいてくださるだけで、常に元気を与えてくださるもの。圧迫面接の帰り道に号泣しながらツイッターを開き、そこに屈託なくお仲間とふざけている推しの笑顔があっただけで、どれほど慰められたか分かりません。そしてそれだけでなくても、推し事をしていたという事実が、就職活動においておおいにプラスに働いた局面もございました。

 

①決められた時間内で確実に自分をアピール

物販では多くの場合、お話しできる時間が定められているもの。私の推しの場合には特に時間が決められているわけではありませんが、それでも他の方も待たれていることを考慮して、お話は一分程度に留めております。「一分で自己アピールをしてください」などという質問は、まさにドルオタのためにあるものではないかとさえ思いました。

 

②美しい字で履歴書を仕上げる

もちろん、字の良し悪しで合否が決まることはありませんが、それでも美しい字は書き手の印象をよくするものです。私は以前ファンレターを「字が綺麗」と評されたことですっかり調子に乗り、より美しい字を書けるよう日頃からお稽古致しました。また、ファンレターを頻繁に書いているせいか、履歴書を大量の字で埋めることはたいして苦労がなかったように思います。

 

③グループディスカッションで周りの方と仲良くなる

現場では時折、他のファン方とお話する機会がございます。プライベートでも仲良くなれる方は別として、場所を譲り合うとか、「最後尾」の札をどこに置くかとか、そういった業務上?のお話を迅速に行う必要もあります。同じ推しを見に来ているという点を除けば何の共通点もない方と、しっかりとコミュニケーションを取れるというスキルは、現場で培われたものだと思います。

 

④敬語

これは学校やアルバイト先でも使うものですが、やはり立場上、「もし失礼な振る舞いをしてしまったら、先生や上司が叱ってくださる」という甘えがあったように思えます。推しは叱ってくださらない、というより叱れない立場でいらっしゃいますから、どうしても「私は私の責任で、推しに大人として接しなければなるまいぞ」という気概を持つようになり、結果として立ち居振る舞いがある程度洗練されたように思います。また、推しはお若いですが、よくご挨拶をする運営さんは丁度人事の方と同じくらいの年齢でしたので、大人と話すことへの緊張もかなり薄れていたと思います。

 

⑤方向感覚

推しは様々なライブハウスで活動されています。その度に知らない駅に降り立ち、歩いたことのない路地を地図片手に彷徨うことを繰り返した結果、だいぶ生来の方向音痴が解消されてきたように思いました。そのため、どの会社であろうと迷わず余裕を持って行くことができました。

 

⑥話のネタ

「趣味は何ですか?」という質問もかなりされました。その際、堂々と「アイドルのライブに行くことです!」と答えると、かなり場が和んだように思います。

とはいえ、この回答には注意も必要です。まず、明らかに「アイドル?くだらんね」とでも吐き捨てそうないかついオジサマ(役員クラスの方に多い)の前では、流石に空気を読んでこのようなカジュアルな回答は控えました。

ちなみにある会社ではその話が盛り上がった結果、「現場で多くのファンと仲良く交流し(本当は限りなくぼっち)、全員率いて生誕祭を盛り上げました(真っ赤な嘘。強いて言えば一人で主催ライブでお花出したくらい)!コミュニケーション能力とリーダーシップがあります!!」と、とんでもないアピールをしました。そしてその面接通りました。いいんかいそのエピソードで。

結局その会社の最終選考は辞退したのですが、万が一それも通って入社していたら、流石にバレてしまっただろうな…とは思います。就活の嘘の鉄則は、1を10にするのはいいけれど、0を1にするのは駄目。

 

⑦モチベーション

やはり一番大きかったのはこれです。私は絶対に初任給で推しにプレゼントすることを決めておりました。ぼろぼろの時はデパートへ行き、死んだような目でタイピンのショーケースを覗きこみながら、「初任給…推し…ダックス…タイピン…」とブツブツ言っておりましたので、おそらくそこの店員さんには陰で「妖怪ダックスタイピン」とあだ名をつけられていたと思います。

それから、今後も推し事を続けていきたい、という思いが強かったからこそ、ある程度志望職種が絞れたのもよかったと思います。私の場合、転勤がないこと、残業がないこと、自分を高められるような企業(これから生きる世界は身だしなみとマナーに特に厳しい業界ですので、その教えを全てプライベートでも完璧にしたいと思います)、そして推しのプライベートに絶対に関わらない企業(例えば、生命保険や銀行でしたら、推しが使いに来るかもしれない、絶対に本名なんか知ってはいけない!と思い、法人相手の仕事をよく見ておりました)。

また、どんなに苦しくても、絶対にいい形で就活を終わらせるんだ、そして接触の際に堂々と報告するんだ、推しが毎日頑張っているからこそ、私も頑張るファンでいるんだ、という気持ちが、常に自分を奮い立たせてくれました。

 

今後も頑張り続けるファンでいるために、就職活動が終わったからとだれることなく、日々これから生きる業界やビジネス全般の勉強に励んでいきたいと思います。簡単なことです。推しに「再来月〇〇と××の資格取ってきますね!」とさえ宣言してしまえば、どうしたって引き返せない状況になり、睡眠時間を削ってでも猛勉強できるからです。

もし「就活」というキーワードでこのブログ記事に辿り着かれた大学生がいらっしゃいましたら、私からのアドバイスは「推しを見つけておきなさい、頑張れるから」だと思います。