武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

褒め殺しはよいことか

距離の近いアイドルのファンでいる醍醐味は、彼らの成長を見届けることだと思います。そのせいでしょうか、まだ様々な面で未熟な推しに対して、アドバイスや、時にはお叱りのようなリプを送る行為も散見されます。

逆に私などは推しに対して褒め言葉しか投げかけません。推しに盲目になっているわけではなく、それなりに「あの点はもっと努力してほしい」とか、「このスキルにおいてまだまだ未熟だ」とは思いますけれど、それを決して口に出さないことにしています。推しに対しては、いわゆる「褒め殺し」状態です。

褒め殺しはよくないことか?少しは冷静な意見を言うのも、ドルオタとしては大切なことか?これに対しては、様々な意見があると思います。しかし私は、褒め殺しスタイルを崩そうとは思いません。

まず、褒め殺したところで調子に乗り、努力を怠るのであれば、推しはその程度の人間なのだと思います。そのような人間ならば、遅かれ早かれ厳しい芸能界で挫折し、一般人としての面白おかしい人生を謳歌し始めることでしょう。私のようなファンがついていても調子に乗った言動を決してしない推しだからこそ、私は敬意すら持って推しているのだと思います。

また、推しを手放しで褒めることができるのなんて、我々ファンしかいないのではないか、という思いもあります。ダンストレーナーさん、ボーカルトレーナーさん、事務所のスタッフさんは、アイドルに常に厳しく接し、彼らの技術が基準に達していなければ容赦なく叱責し、厳しい稽古を課すでしょう。またお仲間も、ミーティングや反省会を介して妥協のない意見を交わし合うのだと思います。それにきっとご家族も、推しを大切に思うからこそ手放しで褒めることはあるまい…このように考えると、推しは「叱ってくださる方」に囲まれ、常に課題と向き合って生きてらっしゃるのだと思います。手放しで褒めることができるのは、彼らを育てる責任もない我々ファンだけなのではないか、と思います。

更に、どんなにドルオタであるとはいえ、業界のことは我々ファンには分かりません。歌やダンスに関してどれだけ意見を述べようと、それが見当違いな意見である可能性もあるのです。また、どれだけ推しが未熟に見えようと、ご職業としてアイドルをされている以上、推しは我々素人よりずっと深い知識を持たれているものです。見当違いな意見を押し付けて、不快にさせてしまう可能性も孕んでいるのだと思います。

推しを褒め続けたところで、推しが謙虚な人間であり続ける以上、それは決して推しにとってマイナスにはならないし、ファンは推しを手放しで褒めることを許された唯一の存在なのだと思います。