武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

コール・ミックスについて

アイドルのライブでは観客の歓声や掛け声が飛び交うことが常であると思います。コールやミックスといったものをオタクが独自に考えることもありますが、あまりにもオタクの声ばかりが目立つような現場には、賛否両論があるのではないでしょうか。

と申しますのも、最近私の推しの現場でもこのような傾向が強くなってまいりまして、私はドルオタを名乗る以上その雰囲気を共に盛り上げるべきかと思いながらも、少なからず抵抗を覚えてしまうことにジレンマを感じております。

まず、こうした掛け声のメリットもあることでしょう。うまくいけば場に一体感が生まれますし、反応が薄い、あるいはそっぽを向かれているよりは、演者も嬉しいことなのかもしれません。また単純に、黙って聴いているより自分たちが騒ぐ方が楽しめる、だからライブに何度も来る、という観客もいるでしょう。ライブが楽しめる場所になるということは、生々しい話ではありますがそれだけ収益にもつながりますし、必ずしも悪いこととは言えません。

一方でデメリットですが、まずこうした掛け声が大きくなりすぎると、肝心の推しの声が聞こえなくなってしまうことがあります。さすがに歌詞に声を被せるのはマナー違反であることが周知されているため、間奏に掛け声、口上を述べるオタクが多いのですが、私はこれもマナー違反であると思います。私の推しの楽曲は、推しのお仲間の一人が作ってらっしゃいます。つまり間奏は彼が作られた大切な作品の一部なのです。歌声は尊重するけれど、間奏は自分たちの声で潰してしまって大丈夫だなんて、それは作曲家の方に対する侮蔑以外の何ものでもないでしょう。

また、どなたかが張り切って口上を作られても、私は正直、よそ様の作られた口上を自分が叫んでも、そこに面白みは感じられません。なぜ推しのお仲間が作曲をされ、推しが作詞をされ、メンバーさんが歌われることで完成している楽曲に、なぜ彼らの許可を得ていないオタクが作った口上を無理やり被せなければならないのか、既に完成している作品に余計な手を加えることに他ならないのか、とも思うのです。私は曲も詞も声も好きですが、あなた方が勝手に作った口上は好きではないのですよ、という思いからそのコール・ミックスを覚えようともしない私を、腹立たしく思っているオタクもいることでしょう。もちろん私だって、雰囲気を壊すような「地蔵」ではないのですし、拍手も送りますが、「自分が積極的に世界観に手を加える」ということはしたくない、という思いが強いです。

演者側にはなったことがないので何とも言えませんが、熱い反応を嬉しく思う方もいらっしゃれば、パフォーマンスへの集中の妨げだと感じる方、自分たちを見てほしいのにオタクが勝手に盛り上がっている、いつしか自分たちの楽曲がオタクの自己顕示欲の発散場所となっていることに憤りを感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

コール・ミックスを完全になくしてほしいとまでは思いませんが、せめて音楽を全てかき消すことはないように、ほどほどにしていただきたい。口上を作るのはいいけれど、静かに見たいオタクにもそれを押し付けないでほしい、推しの現場は「推しのパフォーマンスを見る場所」であるのですから、「思いっきり騒げる場所ですよ!」と、カラオケボックスのような扱いにして、それを流布しないでほしい。

騒ぐことが目的となっているオタクも、私のように静かに見たがる、ともすれば「ノリの悪い」オタクも一長一短、どちらかを完全に排除しなければならないということはないと思います。だからこそ最低限、お互いの邪魔をせず、尊重しながら現場を共有したいものです。