武蔵野の草原に立つ

アイドルのライブへ行く趣味について徒然に。

推し事で学べること

推し事とは、日々勉強をすることだと思っております。もちろん、何をどう学べばいいのかなど、どなたかから教えていただけるはずもありませんから、すべては自発的に学んでいることです。学ぶ内容は多岐に渡りますので、まるで大学一年生のときの一般教養課程のような気持ちです。私は研究職を目指している分、「学びを深める」ということが推しへの愛情表現でもありますので、これから述べることは一般論として語ることはできないでしょう。それでも、人さまのファンでいることはこんなにも深い学びを得られるものなのだ、ということだけでも伝えられれば幸いです。

 

【アイドル社会学

AKBグループやジャニーズグループの在り方・ビジネスモデル・ファン心理の操作などは、興味深い書物がいくつか出ています。経営者目線で述べられる「いかにファンの心を掴むことが利益に繋がるのか」を知ることで、自分がどのような行動をすることが最も推しにとって利益となるのかが分かります。

 

【ファンの心理学】

ファンに限らずとも、人に興味を抱く、好きになる、あるいは仮想現実に依存する…といった人間の心理は、突き詰めれば突き詰めるほど自分というものがクリアになってきます。

特に興味深かったのは、ファンは推しに似てくる・ファンコミュニティの中で推しの役割を演じることでファン間で推しユニットの再生産を行うという話でしょうか。自分が今後このような心理になっていくのだろうな、ファン仲間を作ったらこのような関係になるのだろうな、とある程度予測もつきます。また、人に依存することで人間の理性がいかに崩壊してしまうのか、という心理学概論も読むと、理性を失わないことの大切さも学べますし、自分がそちらの道へ転落する前に踏みとどまることもできるようになれます。

 

【ビジネスマナー】

推しは私にサービスを提供してくださる方、私は推しのクライアント。そう考えなくとも、ビジネスマナーは必修科目でありましょう。チケット予約のメール書式に始まり、人さまに手土産(差し入れ)を差し上げるときは何に気をつければよいのか、人さまを不快にさせない服装は、挨拶は…自分はこんなにも子供だったのか、大人としての常識が欠けていたのか、など、衝撃も大きかったです。

 

【日本のサブカルチャー史】

現代のサブカルチャー史概論も興味深いですが、この文化は遡ろうと思えばどこまででも遡れるのが面白いところです。古事記に出てくる異性装や神楽舞・白拍子といった文化も、その本質は脈々と現代に受け継がれているのです。

 

【法律】

もちろん、六法全書を暗記する必要などはございません。それに、殺人罪や窃盗罪など重罪については、一般常識でもあるのであえて学ぶ必要はないでしょう。ここで学ぶべきものは、「やったとしてもほぼ罪となることはないであろう軽犯罪」である「著作権法」です。推しがSNSに上げた画像を自分のSNSにそのまま、あるいは加工して載せる。多くのファンが、自分の行為が厳密に言えば犯罪になることを知らずに、なんなら推しの活動を支えているつもりでしていることです。それに推し側としてもそこまで大きな損害になることもありませんし、下手に注意をするとファンを失うこともありえますから、基本は放置です。だからといって、堂々としていいものでもないでしょう。それに推しや運営側にも、「あえて注意はしないけれど、こいつは大人としての常識がないな」と思われる可能性があります。そして最初は数人がしていた軽率な行いが、ファンが増えるにつれ多くの人に広まり、やがてパフォーマンスやプライベート画像の盗撮に発展する…という可能性も、ゼロではないのです。

 

このような「科目」は、基本は大学の図書館や国会図書館、あるいはネット上でフリー公開されている論文などを読むことで学びます。差し入れに関しては、差し入れや手土産を特集したテレビ番組や雑誌記事を参考にすることもあります。

大学ではありませんから、どれだけ学んだところで単位や学位をいただけるわけでもありません。それにこれを推しに直接言ったところで引かれてしまいますから、誰にも言いません。あの方はよくお勉強をしているのね、とどなたかから評価していただけることもありません。すべては自己満足ですし、自分の中で完結していることです。それでも虚しくならないし、もっともっと学びたいと思えるのは、やはりこれが私なりの愛情表現なのだと思います。